杉並北尾堂店主・北尾トロの日記を公開


by torokitao
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04.11-20

4.11
6時起き。朝からデッキでゲラ読み。
今日は暑いくらいだ。

10時過ぎに家を出て秋葉原で宮坂君と待ち合わせる。
終日秋葉原で取材である。
Z級セクシータレントたちの撮影会とか、それより一ケタ上の輝きを放つアイドルの握手会とか、ぼくには全然似合わない場所を右往左往。
秋葉原ってさまざまな音に取り囲まれるせいか、いるだけで疲れる。
喫茶店で待ち合わせ、イベント会場下見、甘味処、イベント、喫茶店、イベント、トンカツ屋、イベント(会場視察のみ)、喫茶店。

何度も帰りたくなったが、なんとか夕方まで持ちこたえたのは、
途中、神田まで歩いて中野晴行さんにお会いして雑談し、気分転換できたからだろう。普段なかなか会えそうで会えないのだが、ぼくにとっては数少ない業界の先輩なのだ。昨日、中野さんが編集した杉浦茂についての本、『へんなの』(晶文社)を
買ったばかりだったのでタイミングも良かった。

帰宅後はケツのアップとか撮ったデジカメを素早く隠し、一家団欒。
娘を寝かしつけながら自分も寝てしまう。

本日の食事
朝 総菜パン サラダ りんご
昼夜兼 ロースカツ 赤出し 新香 飯(秋葉原 丸五)

4.12
なんてこった、午前5時起床だよ。
6時には『裁判長!おもいっきり悩んでもいいすか』あとがきの
追加原稿を書き、その勢いで『ぶらヂン』ゲラ読み。
老人も真っ青の朝型ライターだ。
けど朝型は気に入っていて、うまく行くと本当に朝飯前に一仕事終えることができるし、娘が起きる前の貴重なひとときを静かに過ごせる。
ぼくはホント、もう少しうまく時間を使えるようになりたい。
仕事して娘と遊んで本読んで、まではなんとかなってきたので、あともう少しのやりくりを、無駄を省いて確保するのではなく、暮らしの中に取り入れながら消化できればと思う。むずかしいことではなくて、移動中と屋根裏部屋の一服タイムを使うことで読書量とボンヤリ時間が増えたようにできればいいんだけどサ。

10時に外出し、仕事場まで娘とドライブ。
プリンターがいかれちゃったんで撤去するのが目的。
娘はお絵描きしてカナちゃんと大宮君にプレゼントするのが目的。
お互いの目的を果たし、音羽館へ顔を出し、スージー・ベッカーの
『大切なことはみ〜んな猫に教わった』を娘にプレゼント。400円なり。
桜はもうほとんど散っちゃったけど、公園の砂場に舞い散った花びらを
何度も宙に撒いて娘は満喫したらしく上機嫌で帰宅する。

昼寝を少々。
買い物がてら晩飯食って、夜はゲラ読み&原稿書き。
合間に『神頼み入門』(飯倉晴武)をパランパラン。
タイトルがふざけてると気に入ったんだが、中身はマトモだった。

本日の食事
朝 焼き鮭 切り干し大根 のらぼうとニンジンの炒め物 みそ汁 飯一膳半 りんご
昼 めかぶうどん
夜 ネギラーメン 餃子 生春巻き(小平 浜木綿)

4.13
幼稚園の送迎。
プリンター購入。
屋根裏に居座るも、原稿はあまり書けず。

本日の食事
朝 生野菜 チーズ 卵 パン
昼 せいろ(西国分寺のそば屋)
夜 豚肉ともやしの炒め物 しいたけ、豆腐、ねぎの陶板焼 みそ汁 飯一膳

4.14
5時半起き。原稿と思ったが、はかどらないのでさっさとあきらめて
残っていたゲラを読む。

午前中に仕事場へ。途中、銀行など。
2年近く前に原稿を書いた某誌から、雀の涙ほどの振込み。
あまりにも遅いため、1年くらい前までは抗議しなくちゃと思っていたが、
そのうち忘れてしまい、ほったらかしにしていた。
振り込まれただけでも良しとすべきか、400字換算で千円ほどになる破格の
原稿料に驚愕すべきか、さてどっちだ。やっぱり後者だな。
安くてもいいのだ。いまやってる『日和』はノーギャラである。
でも、それは最初からその条件で頼まれ、納得してやっているからで、
条件の提示もなく、支払いが遅くて安いとなるといい気分はしないよな。

バイトのカナさんと食事後、朝日新聞の向井氏来訪。裁判員制度について
取材を受ける。つい調子に乗り、3時間近くも脱線した話題を延々と繰り
広げてしまった。いやあ、すまんです。

喋り疲れたし、天気も悪いので、適当に切り上げて帰宅。
夕食後、もらいものの日光土産、鬼平の水ようかんに舌鼓。
寝間着に着替えていると講談社M君から原稿の催促電話があったが
「朝型人間ですから今夜は書きません」とキッパリすぎる言い訳をし、
幼稚園児と肩を並べてさっさと寝てしまう。
9時である。世間との乖離、いよいよ激しくなってきた。

本日の食事
朝 野菜のオムレツ風 りんご パン
昼 麺のランチ(西荻 クワランカカフェ)
夜 豚肉と温野菜 生ゆば 漬け物 みそ汁 飯二膳

4.15
4時起き。ひひひ、老人の域だな。
ポットにたっぷりのコーヒーを作って屋根裏へ上がるんよ。
でもって、ここんとこ下関マグロとやってる原稿を書く。
書いているうちにいろんなことを思い出し、書ききれない感じになって
呻吟するのがまた楽し。
6時には相方が、7時には娘が起きてくる。
ここれ屋根裏から降り、新聞など読むのだ。
朝食後は「モウラ」を執筆。
昼過ぎに3分割掲載の1回目だけ書き終え送信する。
ひゃ〜、よく働いたぞ。そしてまだ午後一時だ。

もう今日は打ち止めで本を読もう。
今度出るNHK『週刊ブックレビュー』で紹介される、他の出演者の
推奨本が届いたのだ。ぼくも読んでおかなきゃならない。
とくに、苦手意識のある小説は早めに読み始めねば。
ということで『猫を抱いて象と泳ぐ』(小川洋子)のぺージを開く。
表紙が美しいねえ。タイトルにぼくが好きな猫と象が入っている。
そういう感想じゃダメだ。読み始める。

2時頃、相方と娘が帰宅し、相方は昼寝。ぼくは娘を連れて公園へ。
平日の昼間とあり、子どもを遊ばせている若いお母さん連中に怪訝な
顔をされた。
「でも、似てるよね」とか言ってる。
誘拐犯とでも思ったのか。
ネーちゃん、世間にはいろんな仕事がありましてね、
あんたのダンナみたいな勤め人ばかりで構成されていると思ったら
大間違いですぜ。
暑い。アイスが食べたくなり、コンビニで買ってベンチで食べた。

家に帰り、相方とバトンタッチして屋根裏で読書と思ったら
『ラジオライフ』のゲラが出たのでそっちを片付ける。
夕方には入浴。食事も済ませ、暮れてゆく日を惜しみつつ、
意味もなくローソクを灯す。

夜、買い直したプリンターを仕事場まで運搬。
11時には就寝。

本日の食事
朝 そぼろご飯2膳 漬け物 みそ汁
昼 そばをゆでて食す
夜 仙台麩のオムレツ風 小松菜と海苔、ネギのごま油和え みそ汁
  晩菊漬 飯一膳

4.16
今日も早起き、4時半。
娘が起きるまで屋根裏で原稿書き。

飯食って西荻へ行きプリンターのセッティング。
おー印刷が早いわ。プリントボタンを押すとすぐ印刷体制に入るしなあ。
いいねえ、ストレスがないよ。
これまでのはボタン押しても赤ランプがつき、スムーズに印刷できることは
20回に1回くらいの確率だったのだ……もっと早く買い替えろ!

午後イチに朝日新聞出版社の国東氏来訪。
連載媒体、「一冊の本」に決まったとのことで、スケジュールなど確認。
初の実録小説、なんてな。
いま下関マグロと進めている作業もそういうもので、今年はなんだか
そういう流れになっちゃった。
あとはバカ話に終始。毎度つきあわせてスマンね。
その後、荻窪で高遠に送る食品を買い物して西荻に戻り、「ぶらヂン」の表紙と
帯コピーを確認、修正。

市ヶ谷へ急ぎ、講談社宮坂君と合流。
取材のため、四谷の「ライブインマジック」なる箱で、アイドル系イベントを見る。
「よくよく考えてみたら、先日のアキバといい、50代の人をこういうイベントに
引っ張り回して、なんだか申しわけない気がしてきました」
宮坂君はそう言うけど、そりゃ逆ざんす。
ほっとけば、ぼくはこういうところに一生こない。
アキバではZ級イベントを見せつけられて戦慄したが、それも含めて経験。
いい人生のコヤシに……なりそうもないけど悪かないと思ってる。
「じゃあ今度、メイドキャバクラ行きますか」
ああ、それだと違うんだよ。そういう直線的な発想はつまらん。
混ざり込むおもしろさという方向で話が繋がっていくほうが好みだ。

物販タイムが終わるとショーが始まる。
名前も知らない地下アイドルと芸人たちが出演し、客は50〜60人。
白髪の初老おやじまでがヲタ踊りをしていてファンタジック。
日常から解放された笑顔に、心を揺さぶる何かがある。
初老おやじの日常を想像していると、短編小説を読んでる気分だ。
その日常は地味で、弾けるヲタ踊りと対象を成す、のではなくて、
おやじは実は社長で妻子にも恵まれ、だがポッカリと心に
空洞を抱えている。それじゃ山田太一。
おやじ、いま55歳なんだが52歳のとき想像妊娠して、
想像の子を体内で産み、誰にも内緒で育てているというのがいいな。
その子どもがオヤジのカラダを借りて自由奔放に踊る。
おやじはいま、52歳若返り、3歳児になっているのだ。
3歳児になりながら、おやじは激しく勃起していた。
なぜなら我が息子を普段、チンポコの中で育てているからだ。
したがって、息子がチンポコから飛び出しおやじジャックをしている間
だけ、おやじは自分のチンポコを自由にできるのである。
しかしいくら勃起しようとチンポコ以外、3歳児に支配されているため
どうにもならない。ただ勃起するのみ。
楽しく踊る息子を眺めながら、おやじはチンポコのなかで泣いている。
リズムに合わせて揺れるおやじの白いヒゲ。
アイドルの「みんな一緒に!」に応えるは幼児声。

終わってから、宮坂君と「こうや」でビールと食事。ほぼ満席だ。
ここは相変わらず繁盛してるなあ。

国分寺に戻ると雨が降り出す。
帰宅11時、もう眠い。
風呂場で足と尻だけ洗って寝間着に着替えて……子どもかよ。

本日の食事
朝 ベーグルサンド
昼 オムライスのランチ(西荻 カムラッド)
夜 トマトと豆苗の炒め物 チャーメン 水餃子(四谷 こうや)

4.18
今日は休養日とし、午後から義母の家へ。
明日は原稿やんなきゃ。

連日のように出版社からの封書が届く。内容はどれも同じ、
グーグル社がすすめていた書籍の無許可デジタル化についてのものだ。
つっても、闇販売とかではなく、大学などの図書館と提携し、
各館が所蔵する書籍のデータ化と閲覧サービスの態勢を整えてきた
ということのようだけれど。公共の利益ってやつを錦の御旗にしたわけね。
でもそれでは著作者はどうなるのよって話もあり、アメリカの出版社が集団起訴。
つまり著作権をめぐる一種のごたごたですな。
で、ぼくに届いたすべての出版社では、(しぶしぶながら間接的に)
グーグル社との和解をこばまないとの見解を示している。
グーグル社の考えはわかりやすくいうとこうである。
「あれ、マズかった? やっぱり? でももう膨大に進めているし、
後戻りはできないから、わかった、金で解決しよ」
で、日本の出版社の見解は、
当社としては和解に参加するので、著者として不満があれば言ってくれ
という内容である。
ぼくは通知を受け取り、これが日本の企業がやったことだったら、きっと
大騒ぎになったのだろうなという感想を抱いた。ペンクラブが断固阻止、
とか言ってたかもしれないし、出版社だって許さないと言い出したかもしれない。
著者者の生活を根底から揺るがし、出版社の経営を直撃することだからだ。
同じなんだけどね、グーグルはもう世界企業なんだし。
こういう流れを見ると、著作権はいずれ、作品発表後、一定の期間その権利を
著者が持ち、その管理を出版社に委ねた後はフリーということになる可能性だってある。
そうなったとき、「本」という商品はどうなるんだろうか。
テキストがタダになったとき、それでも本は商品足り得るのか。
うむー、ムズカシイのお。

夜、考え事していたら深みにハマり、何かもうすべてが嫌になったり
その逆になったり、触れ幅が大きい自分の気持ちを持て余す。
桜が散っただけで泣ける夜があって、
花の後に葉が残ってそれで良しと思う朝もあるのだ。
大人なのにな。
オレは相変わらずぐらぐらしてる。

本日の食事
朝 残り物のおかず みそ汁 筍ご飯の残り
昼 ざるそば
夜 ちゃんぽんうどん(東村山のうどん屋)

4.19
7時起き。んがー、いい天気じゃ。
朝飯食べてぶらぶらと西荻へ。
下関マグロの新刊が2冊届いていた。
「まな板の上のマグロ」(幻冬舍文庫)
「歩考力」(ナショナル出版)
前者は「露出者」の文庫化だ。

ぶらヂン文庫の追加原稿を進める。
終わりが見えた頃、音羽館の広瀬さんきて西荻ブックマークの荷物運び。
ぼくも会場のマーレに行って、スタッフの仕事を。
高遠ブックフェスティバルや、木野鳥乎さんの展示チラシも配布。
飯田市出身の学生がいて、近いうちに「本の家」に行きたいと
話しかけてきた。どんどんきてくれと答える。
今日は大竹昭子さんによるトークで、お客さん43人と超満員だ。
ドアの外から写真を見たり話を聞いたり。
後片付けまでやって、みんなは打ち上げに向かったが、原稿があるので
荷物を持ってまた仕事場へ。

帰宅11時過ぎ。原稿やっと仕上がってひと安心。

本日の食事
朝 ポトフ パン はっさく
昼 コロッケパン
夜 親子丼セット(西荻 富士そば)

4.20
7時起床。
そばの畑でカエルが鳴いている。

メールを見ると北尾堂古書部に注文。うれしいな。
喜んでる場合じゃなくて、仕事。
カンジンなところを抜かして送っていた文庫追加原稿を大慌てで補足。
「日和」を書いて送信。連載へってラクになったはずなのに、なんだか
バタバタしているねえ。
が、ここで息が切れ、放心状態で昼まで過ごす。
鉄人社オガタから電話があり、単行本についての現実的な話で覚醒したから
よかったものの、あのままなら間違いなく今日の予定をキャンセルし、
夜までふとんにくるまっていたことだろう。あー面倒くさいなあオレ。

元気を出して西荻へ。
16時、ダヴィンチ岩橋嬢来訪。
土産のプリンを頬張りながら次号のネタ出し会議だ。
梅雨どきの優雅な週末の過ごし方(地獄の60時間読書計画)とか、
超絶印刷術の現在、とか
いろいろ出たが全部却下となり、
世にも不思議な帯コピー、という方向でいちおう話がまとまる。
岩橋嬢の所望で、水餃子にビール。

相方たちは義母の家に泊まりなので、帰宅後は静か。
しまったなあ、レイトショー映画でも見に行きゃ良かったか。
なんて悔やんだが、電話がかかってきたり調べものをしたりしてたら
日付が変わってしまった。

本日の食事
朝 やまいものすりおろし 練り物 水菜などの煮物 吸い物 飯一膳半
昼 麻婆豆腐定食(国分寺の町中華)
夜 水餃子、海老そば(西荻 萬福飯店)
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by torokitao | 2009-05-17 04:30 | 日記